飲食店失敗の研究 第12回「女性向けの店に女性が来ない!」
- 2008年12月25日 15:06
場所は東京を、いや日本を代表する繁華街のそのまた中心エリア。
店の前の歩行者通行量は、半端な数ではない。365日、24時間、ひっきりなしに大勢の群衆がゾロゾロと歩いている超一等地だ。
事実、『日経MJ(流通新聞)』など、消費トレンドを報じるメディアでは、女性こそ消費の最前線、トレンドを主導するリーダーであるような報道が多くなされていることは周知のとおり。
Aさんは異業種での経営経験などもあり、飲食業に新しい考え方を持ち込もうという意欲に溢れていた。一般的に、家業を継承する場合、いくつかのタイプに分かれるものだ。
(1)先代の路線を踏襲する在来線型。
(2)既存の路線はそのままにして、全く新たな別路線を建設し並行
して運行する東海道新幹線「ひかり」型。
(3)古くなった路線の地盤を改良してリニューアルし、新たな顧客
も呼び込む秋田新幹線「こまち」型。
(4)まったく新たな別路線を建設し、既存の路線は廃止する長野新
幹線「あさま」型。
(5)先代の事業そのものから全面撤退して切り売りする汐留貨物基
地再開発「シオサイト」型。
Aさんの今回の決断は(4)のタイプだった。いかに繁盛しているとはいえ、主要客層の構成を大胆に変えていかないと将来は無いとの判断から、既存の横川-軽井沢間の碓氷峠越えの信越線を全廃してでも長野新幹線を開通させたのだ。
こうして、女性の美白効果を前面に打ち出した飲食店B店が新装開店した。
以前のステーキ店の常連客は皆びっくりした。店名からして、化粧品かサプリメント店のような印象を与え、男性客が気軽に入店できるような雰囲気ではなくなっている。
では、消費トレンドの最前線にいる女性客で賑わっているかというと、これが目論見通りには行かないから商売は難しい。気軽にお茶を飲める雰囲気ではなく、しっかり食事をすることを前提としたメニュー構成になっている。ランチの時間帯はともかく、それ以降の午後から夜の時間帯に、食事客だけで店舗が完全に埋まることは稀だ。
ところが、先代の業態である格安ステーキ店であれば、これだけの店前通行量のある立地なので、ほぼ24時間、満席状態を保っていた。どんな時間帯であっても空腹の男性にはこと欠かないが、女性は食事時でもなければ簡単には腹が減らないものだ。
かくして、男性にも女性にも見放された若旦那の初采配は、敢えなく閉店に追い込まれた。無責任なジャーナリズムに踊らされず、自店にとっての最重要顧客層を冷静に見つめることの大切さをAさんは今、かみしめて次の一手を練っている。
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